タグ: 十種ヶ峰
山口県阿東町と島根県津和野町との境に位置し、その秀麗な尖峰は南麓の徳佐から眺めると、マッターホルンを彷彿させる。しかし西側から見ると、北西斜面は、標高約600mと約800mの二段の緩斜面で、その上に小さな尖峰をのせた形をしている。毛無しの山頂からの展望は日本海、瀬戸内海をはじめ、遠く三瓶山まで及び、姿の美しさとともに県内では山の女王の座にある。
長門富士とも呼ばれ、御食主命(みけぬしのみこと)が「十種の神宝」をこの山に埋めたのが山名の由来という。入会地であったために、昔は山焼きが行われ、樹林が貧弱な草山であるが、中腹以高は貴重な植生を示し、チマキザサの群生は県内でも他に類がなく、8合目辺りのクロマツの点生も珍しい。ホソバシロスミレは北方系の日本ではまれな種類で、またアカモノはこの山が南西限という。
標高590mにある野外活動センターから山頂まで1時間10分、南東の福谷池からは名賀越を経由し1時間30分、また南麓の神角(こうづの)からはヤブこぎルートで2時間の歩程で山頂に到達する。