桜満開の時期になりました。今年はぜひ行ってみたいと思っていた桜の名所がある。
「向畑の左近桜」
山口県岩国市の山奥深くにある向畑という集落。現在は廃村となっているが、数年前までただ一人お婆さんが住んでいてTVに取り上げられた事もあるらしい。
この集落、岩国市の多くの山奥集落同様平家の落ち武者が切り開いた土地だという事です。そこにひときわ大きいエドヒガンの桜がそびえ立っている。この地を開拓した武将の名にちなみ「左近桜」と呼ばれている。樹齢は700~800年。源平の戦いから逆算すればこれくらいになる。そばにその武将を祀ったであろう神社も鎮座する。
アクセスがとても悪いので気軽に来れる場所ではないが、自分が赴いた本日は車が3台止まっていて、5~6人の方が談笑しながら満開の桜を見入っていました。自分も会話の輪の中に入ってみる。
「歩いてこられたんかね?長谷から?」
「桜の上部に行ける道がある。そこから眺めるのもええよ」
「大きいカツラの木もある。行くまではちょっとしんどいよ」
この付近に詳しい地元住民の方のようだ。素晴らしい景観なので動画も撮ってみたものの、ファイル容量が大きすぎて公開できん(笑)上手な圧縮方法が見つかったらまたUPします。
ビックリするような大きな桜では無いが、山奥深くの丘にただ一本さっそうとそびえたつこのロケーションが素敵すぎます。
付近を歩き回ると、集落の中心部であろうところに廃屋が何軒か。そのうち一つは小さな小学校(分校)だったようです。家に帰って数年前の写真と見比べてもだいぶ崩壊が進んでいる。
その後情報通り谷を降り大カツラを拝見する。こちらはあまり訪れる人はいないのだろう。かなり道が荒れていました。
車を停めた長谷集落に戻ると、すぐ横の家に出入りしていたご婦人が話かけてきた。
「まあ~ここから向畑まで歩いて行ったん?まだあの桜は私も見た事がないんよ。」
「ここに妹が住んどるんじゃが、独り身で車の免許も無い。足腰も悪いんで、私が通って面倒見とるんよ。」
「このあたりはもう人が住めるようなところじゃあ無くなっとる。」
かくいうこのご婦人も既に80歳近い。この先どうなるんだろうと思うと胸が痛い。もはや中国地方の山間部は限界を超えて絶滅寸前の状態なのだ。
自分はというと、山奥の柿木村から東京に出て今は益田に住んでいる身。こういう話を聞くと罪の意識に苛まれる。とはいえ地元住民の貴重な話を聞く事ができた。お礼を言って帰路に着く。
人がいなくなり廃集落になっても左近桜は生き続ける。天を掴もうとするかのような枝ぶりに、平家の魂が宿っている感覚を覚えました。
※左近桜の動画をYouTubeリンクでUPしました。
BGM流せます。
※ スマホでギャラリーをご覧の方は、横向きにすると良いかと思います。
距離11km 時間3時間27分
歩行時間 3時間
最低高度 195m
最高高度 421m
累計高度(+) 607m
累計高度(-) 599m
【10:23】長谷集落
【10:35】重長神社
【11:12】十字路
【11:22】左近桜/廣實神社
【11:46】広瀬小学校向畑分校跡
【12:03】向畑のカツラ
歩行状況
標高推移

アクセスの良さ | ![]() ![]() ![]() ![]() |
登山道整備度 | ![]() ![]() ![]() |
急登度 | ![]() ![]() |
秘境度 | ![]() ![]() ![]() ![]() |
眺望の良さ | ![]() ![]() ![]() |
樹齢800年左近桜 | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
※ 上記の評価は自分の独断と偏見によるものです。山の魅力を表すものではありません。
駐車場情報
県道69号線長谷集落付近のスペースに停めました。
向畑集落までの道は車で行くにはかなり厳しい悪路です。北の平瀬ダムから行けばまだましかもしれません。ですが左近桜は一見の価値あり。ぜひ訪れてみて下さい。
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